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1269.【小説】或除者の独白 幼少期編 第11話

2025/03/11

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或除者あるのけものの独白

幼少期編

第11話

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私は希望したクラブが3つすべて最低人数に達さなかったため、どれにも入ることができませんでした。こうなってしまったのはおそらく、当時学年で私だけでした。

それからどうなったかは、これからお話しいたします。

教員たちが話し合った結果、私が全く希望していないクラブの中で、受け入れることができるクラブの中から強制的に選ばされた記憶があります。

これまでの話のように私は運動神経が絶望的になかったので、スポーツをやるクラブは絶対に入りたくありませんでした。

・・・、するとスポーツではないクラブの中で入れたのは・・・、漫画クラブでした。

私は今でも、お手本通りのイラストを描くことは上手ではありません。今、イラストを描いても個性的な絵柄になることでしょう。

今でこそ個性的なイラストを描く人をも敬意を込めて「画伯」と呼ぶ流れがあります。今の私であればその個性的な絵も笑いにできれば良い、と余裕を持つことができます。

しかし当時の私は・・・、恥ずかしかったですね。とにかく恥ずかしかったです。漫画クラブで描いたイラストは、階段の踊り場に展示されるのですから。

「真田くんは、何を描くの?」

同じ漫画クラブで、近くの席にいた女の子の末本さんが尋ねてきた。

「・・・・・・・・。」

何を描けば良いかわからなかった私は困っていました。

「何を描くか、迷うよね。」

困っている私に、末本さんはそう言いました。末本さんは子どもが描きがちな矢鱈大きな目をしたキャラクターを描いていたことをぼんやりと覚えています。

当時の私は漫画はそれほど読むほうではありませんでしたが、テレビアニメは人並みには観ていましたのでキャラクターを知らないわけではありませんでした。

しかし、ここでも発動した「得体のしれない恥ずかしさ」により、自分がどのキャラクターが好きかを公表することができませんでした。

・・・そんな中での苦肉の策は、自ら考案した謎のオリジナルキャラクターを描くことでした。大人になった今、客観的に考えてみると人気キャラクターの絵が張り出されることよりも、こちらの謎のオリジナルキャラクターの絵が張り出されることのほうがより恥ずかしいことのように思えるのですが、当時の私はこうしたのです。

「真田の絵、おもしれぇ!」

案の定、階段の踊り場に掲示されている私の絵を見て笑う者が出てきました。寺石くんが大笑いしています。

当時の私は笑われたことに嫌な思いをしましたが・・・、今であれば自分から個性的な絵を笑いの道具にすることでしょう。この漫画クラブに所属してしまった話も今では笑い話です。

・・・因みに、仮に今私が漫画クラブに所属しているとすれば、LINEスタンプなどでも好きなキャラクターがありますから、そのようなキャラクターを描いてみることでしょう。今はかつてのような「得体のしれない恥ずかしさ」は消失していますからね。

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つづく

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