1249.【小説】或除者の独白 幼少期編 第2話
2025/03/02
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或除者の独白
第2話
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私は幼稚園や学校で、休み時間に何をすれば良いのかがわかりませんでした。
周りでは子どもたちが仲良くいろいろなことをお話ししていますが、私はその中に入ることができなかったのです。中に入りたいという気持ちはあったものの、どうすれば良いのかがわからなかったのです。
「好きなことを話せばいい」と思われるかもしれませんが、特に当時の私は先ほどの名前を呼ぶことと同様、「得体のしれない恥ずかしさ」が邪魔をして自分の好きなことを素直に話すことができなかったのです。
そんな私は、極端に口数が少ない子どもでした。こうやって皆さまの前でお話しをペラペラとしているとよく喋る人のように見えますが、今も口数は多いほうではありません。例えば絶え間なく話し続けることができる井戸端会議の御婦人方などを見かけると、私にとっては超人に見えます。それくらい、私は話すことは現在もそれほど得意ではありません。こうやって事前に準備したことを話すことはできますが、即興でいろいろと豊かに話すことはそれほど得意なほうではないのです。
さて話題を戻しますが、子どもの頃は更に口数が少なかったものですから、周りの人から見ると私が何を考えているのかがよくわからなかったことでしょう。
「真田くんは、何をすることが好き?」
私がこういったことを尋ねられても、「得体のしれない恥ずかしさ」によりどう返事すれば良いかがわからず、黙っていたことを覚えています。
こうやってうまくコミュニケーションをとれない状態だと、そりゃあ人は寄ってきません。やがて私は幼稚園や学校で孤立してしまっておりました。
休み時間に何をすれば良いかわからず机の上でじっとしていることもありましたし、教室内が騒がしくて居心地が悪い時はよく、一人で校舎内を歩き回っていました。
私はその校舎内を歩き回ったことが、学校の昼休みで特に印象に残っていることです。未だに、校舎内を歩き回ったことをもととする夢をよく見ます。学校で誰かと話している夢よりも、一人で歩き回っている夢のほうをよく見るのです。それくらい、私は学校で一人でいる時間がよくありました。
わけもなく校舎内をうろついている私を見て、他の子どもたちは奇妙に思ったかもしれません。しかしそうすることでしか、当時の私は長い長い昼休みをやり過ごすことができなかったのです。
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つづく
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