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1244.【小説】魔法のスプリッツ 最終話

2025/02/28

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魔法のスプリッツ

第28話

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フランチェスコが『マリオ・エ・ルイージ』を絶賛してから10年が経過した。

店はすっかり大繁盛し、チェーン店化した。魔法のスプリッツ工場も出来上がり、大量生産されるようになった。

大学で経営学を学んでいたマルコが卒業後にお店の経営に携わることとなり、マルコの力もあって店はどんどん大きくなったのだ。ちなみにマルコの友人のミケーレは、ローマでミュージシャンになったとかいう噂がある。

そして、特別アドバイザーにはジョルダーノ教授が就任した。魔法のスプリッツのおかげで変わることができたジョルダーノ教授自身から、ぜひやらせてくれと名乗り出たようだ。

今や店は世界展開しており、日本でも東京や大阪、福岡など主要都市にお店を構えている。

マリオとルイージは『マリオ・エ・ルイージ』の共同創業者として、世界各地を飛び回る忙しい生活に追われている。

今日は、二人で東京で講演をすることとなっている。通訳を担当するのはあのジュリアである。マルコと同じ寮に住んでいたジュリアは日本語学科で学んでいたのだ。おかげで日本語が堪能である。

立派な緑のスーツを着たマリオと、赤いスーツを着たルイージが2人で並んで立っている。

「ボクたちが今までやってこれたのは、皆さまのおかげです。お店をやっていくうえで、お客様の存在は欠かせません。」

「私たちは、いつもどうしたらお客様に喜んでいただけるか、それを第一に考えてやってきました。もちろんお金を稼ぐことも大切です。しかしそれは二の次なのです。」

「お客様を喜ばせようとした結果、ボクたちの現在があるのです。これまでボクたちのお店に来てくださったすべての皆さまに感謝します。」

「そして私たちは、今でもお客様がもっと喜ぶにはどうすればいいか、日々考え続けているのです。」

「今回は、特別に魔法のスプリッツをご用意しております。会場の皆様、ぜひお飲みください。」

「お酒はちょっと、というお方も安心してください。ノンアルコールもご用意しておりますよ。」

「飲みたくない方も、遠慮せずに飲まなくても構いませんからね。」

会場で、マリオとルイージが一人ひとりに丁寧に魔法のスプリッツが入ったグラスを手渡した。

「それではお飲みになる方は、グラスを持ちましたね?それじゃ、ルイージ、どうぞ!」

チンチン乾杯!」

会場で笑いが沸き起こる。イタリアやフランスでの乾杯の挨拶「チンチン」は、どうしても日本では奇妙に聞こえてしまうのはしようがない。

マリオとルイージは、魔法のスプリッツを飲んで喜んでいる人々の顔を、感慨深そうに見つめていた。

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魔法のスプリッツ

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