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1242.【小説】魔法のスプリッツ 第27話

2025/02/27

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魔法のスプリッツ

第27話

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「今まで数え切れない店でスプリッツを飲んできたが、これほど繊細で美しい味は初めてだ。確かに『魔法のスプリッツ』と呼ばれるだけあるよ。」

それまでの険しい表情から一気に笑顔となったフランチェスコは、魔法のスプリッツを絶賛した。

「ほ・・・本当ですか!ありがとうございます!」

マリオは嬉しさのあまり、俊足となって厨房へ戻り、ルイージとハイタッチをした。

「フランチェスコにこんなに褒められるなんて・・・これからもっと忙しくなるよ!」

「この製法で大量生産できる仕組みも整えたほうがいいかもな。」

二人は嬉しさを隠せずに、今後のことを様々と話した。

「すみません!」

魔法のスプリッツにすっかり魅了されたフランチェスコが呼んでいる。

「今度は、俺が行ってくる。」

ルイージがフランチェスコのほうへ向かう。

「食べ物も注文しようと思うよ。この店での定番は何かね?」

その刹那、ルイージは焦った。

魔法のスプリッツに力を入れすぎるあまり、食べ物のメニューを改善することが疎かになっていたのだ。

だが、ルイージには奥の手があった。

「食べ物のほうは・・・こちらにお任せしてくださいませんか?」

「じゃあ、そうして。」

緊張しながら厨房に戻ったルイージは、マリオに合図をして料理を作った。

今度はマリオがその料理を持っていく。

「魔法のカルパッチョでございます。」

「これもここの定番メニューかね?」

「いえ・・・、実験的なメニューです。長年ルイージがあたためてきたメニューだそうです。」

カルパッチョは日本でも知られているイタリア料理だが、発祥地はヴェネツィアである。ヴェネツィア出身の画家・ヴィットーレ・カルパッチョが名前の由来だという説もある。

日本では魚が用いられることがよくあるが、本来のカルパッチョは生の牛ヒレ肉の薄切りが用いられる。

「ふむ・・・。見た目はよくあるカルパッチョだな。」

再び険しい表情となったフランチェスコが、やがてカルパッチョを口の中へ放り込んだ。

すると次の瞬間、フランチェスコの目が大きく見開いた。

「・・・なんだこれは!牛肉によく合う香ばしいソースだ。これはもしかして・・・?」

「魔法のスプリッツを作る際の秘伝のレシピを応用しています。魔法のスプリッツともよく合いますよ。」

それを聞いたフランチェスコは、カルパッチョを口に入れてすぐ魔法のスプリッツを飲み、口の中で混ぜ合わせた。

「本当だ・・・!素晴らしい!この魔法のカルパッチョも、すぐに売り出したほうがいい。いやぁ、こんなに満足したのはいつぶりだろうか。思いっきり紹介させてもらうよ。客が押し寄せてくることになるが、覚悟しな。」

「ありがとうございます!フランチェスコさんにそんなに絶賛してもらえるなんて・・・!」

奥からルイージもやってきた。

「本当にありがとうございます。店をやってきて良かったです!

フランチェスコは、笑顔で親指を立てた。

―――この後、フランチェスコは雑誌やインターネット上で『マリオ・エ・ルイージ』を絶賛した。フランチェスコは5点満点で評価するのだが、4.21となった。4を超えてくる店ですら珍しいのだが、それを更に0.21ポイントも上回ってきた。

フランチェスコの影響力は絶大で、店は大繁盛となった。

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つづく

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