1238.【小説】魔法のスプリッツ 第25話
2025/02/25
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魔法のスプリッツ
第25話
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『マリオ・エ・ルイージ』の看板商品『魔法のスプリッツ』は、今日も好評である。
「魔法のスプリッツをアペロールで作ってくれ!」
「私はカンパリで!」
「俺はセレクトで。」
この日もどんどん、魔法のスプリッツの注文が入っている。
「なぁマリオ、この売れ行きの勢い、とどまることを知らねぇな!」
「だよねルイージ。このメニュー名を思いついたマルコに本当に感謝だよ。」
またお店に、1人の客が入ってきた。
「チャオ、マリオ!チャオ!ルイージ!」
入ってきたのはマルコだった。
久しぶりに言及するが、マリオのフルネームはマリオ・ヴェルディでヴェルディは緑という意味なので緑色の帽子と服を身に着けている。一方、ルイージのフルネームはルイージ・ロッシでロッシは赤という意味なので赤い格好だ。苗字が違うので兄弟というわけではない。色が同名の某世界的キャラクターと逆の構図なので紛らわしいが、マルコはすっかり常連なので間違わずに二人に挨拶をした。
「チャオ、マルコ!ボクたち、今ちょうど噂をしていたところなんだ。」
「マルコが思いついた魔法のスプリッツっていうフレーズを俺たちでメニュー名にしてから、売り上げが絶好調なんだよ。この前もすごく売れてたけど、それをどんどん更新してるんだ。マルコ、本当にありがとう。」
「僕が魔法のスプリッツって言ったのは、ここのスプリッツが本当に美味しかったからですよ。まぁ、初めて飲んだスプリッツがここのということもありましたけどね。」
マルコは、それまで成人にも関わらずお酒を飲んだことがなかったのだが、なぜか飲みたくなったので友人のミケーレと話しているとこの店を紹介された経緯がある。それ以来、マルコはスプリッツをよく愛飲するようになった。
「マリオさん、ルイージさん、お礼を言うのはこちらのほうですよ。ここの魔法のスプリッツのおかげで大学の中間テストが駄目でも落ち込まなかったし、期末テストの時は頑張って逆転できました。お二人のおかげで頑張れたんです。」
「ああ・・・そういう言葉を聞くと、店をやってて良かったなぁと思うねぇ。なぁ、マリオ。」
「まさにそうだよ。ボクたちの料理や飲み物でお客さんが満足して心が満たされると、こっちも幸せな気分になるんだ。」
マリオとルイージは、実に幸福感に溢れた表情をしている。
「そういや、ミケーレは一緒じゃないのかい?」
ルイージがマルコに尋ねた。
「それが・・・、」
マルコは、応答に困った。
「どうしたんだい?」
マルコが心配そうに尋ねる。
「ミケーレは気分屋だから、すっかり他の店に乗り換えてそっちの常連になってしまいましたよ。」
「そ、そ、そ・・・そうなんだな。まぁ、そういうこともあるさ。」
「いろんな店があるし、しょうがないね。」
二人は苦笑した。
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つづく
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