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1236.【小説】魔法のスプリッツ 第24話

2025/02/24

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魔法のスプリッツ

第24話

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マルゲリータは、息子のマリオのお店で『魔法のスプリッツ』の味に感動した。

続いて、料理が運ばれてきた。

「あらまぁ、おいしそうなボロニェーゼね。」

タリアテッレというパスタに、ボロニェーゼ(ボロネーゼ)ソースがかかった料理だ。

早速、マルゲリータは一口食べた。うんうんと頷いた。

マンマお母さん!やっぱり、この味だよね。」

「私が子どもの頃のマリオに作ってあげた味だわ。さすがマリオ、忠実に再現しているわ。」

マリオは、子どもの頃からマルゲリータが作ってくれたボロニェーゼソースのパスタが大好物だった。何か落ち込んだことがあると、いつもマルゲリータはこのボロニェーゼを作ってくれていた。

「マンマが作ってくれたこの味にいつも励まされたんだ。今は僕がお客さんたちを励ますことができていたら嬉しいな。」

「あら、まぁ・・・。」

涙もろいマルゲリータは、再び涙を流した。

「いいお話だ・・・。」

それにつられて、なぜかルイージのほうが目に涙を浮かべた。ちなみにマリオは平気である。

「お次はこちら、ピッツァ・マルゲリータだよ。ボロニェーゼも食べたから小さいサイズで作ったよ。」

「ありがとう、マリオ!」

マルゲリータは、シンプルなものが好きな上に同じ名前なこともありピッツァといえばマルゲリータを気に入っている。

「うん、やっぱりピッツァはマルゲリータだわ。」

こちらも満足したようである。

「おいしかったわマリオ。今年もありがとうね。ルイージ君も、ありがとうございます。」

「本当は毎日でもマンマのために料理を作ってあげたいんだ!だからマンマの誕生日の今日に気持ちを込めるよ。」

「マルゲリータさん、満足していただけたなら良かったです。これからもマリオと一緒にコツコツとお店を続けていきますね。」

「最後に、これを受け取ってよ!」

マリオは、奥から花束を持ってきた。

「・・・まぁ!きれいなマルゲリータの花!もう、何回私を泣かせるのかしら・・・!」

マルゲリータはまた感涙にむせぶこととなってしまった。ルイージもやはりつられて泣き、それでもマリオは平気であった。

「駅まで送らなくてもいいのかい?なんなら僕の家に泊まっていきなよマンマ!」

「大丈夫よ。明日またパドヴァで予定があるし。今年の誕生日も楽しかったわ。」

「ありがとう、マンマ!」

「ありがとう、マリオ!」

親子は抱擁をした。日本人の感覚では奇妙に思う方もいるかもしれないが、イタリアの男性の中にはこうやって何歳になっても母親想いの気持ちが強い人が少なくない。

こうしてマルゲリータは、サンタ・ルチーア駅から列車に乗ってパドヴァへ帰っていった。

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つづく

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