1232.【小説】魔法のスプリッツ 第22話
2025/02/22
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魔法のスプリッツ
第22話
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マルゲリータはパドヴァから電車に揺られてヴェネツィアにやってきた。
ヴェネツィアでは、息子のマリオが飲食店を営んでいる。
今日は、マルゲリータの誕生日だ。マリオがお祝いをしたいということで、マルゲリータはお店に招待されたである。
「サンタ・マルゲリータ広場・・・、いつ来ても親近感がある名前だわ。」
マルゲリータと同じ名前がつけられている広場に、マリオがやっているお店がある。マルゲリータは何度もここに食べにきたことがあるし、マリオが帰省した際もマリオに料理を作ってもらっている。逆にマルゲリータもその時は、マリオに料理を作る。
マルゲリータが『マリオ・エ・ルイージ』の扉を開けた。
「マンマ、誕生日おめでとう!」
マリオが笑顔で出迎えた。
マルゲリータのために貸切状態にしている店内は、きらびやかな装飾が施されている。クラッカーの音とともにマリオの愛にあふれる装飾を見たマルゲリータは、早速涙を流した。
「まぁ、マリオ・・・。今年もありがとうね。」
「今年もいろんな料理を用意してるからね!」
「マルゲリータさん、楽しみにしていてくださいね。」
「ルイージ君もいつもありがとう。」
ルイージもマリオの母親へのお祝いのためにノリノリだ。
その名前から兄弟だと誤解されがちなマリオとルイージだが、実の兄弟ではない。ただ、こうやって一緒に飲食店を営んでいるくらいの「盟友」といえる関係なのである意味兄弟のようなものなのかもしれない。マルゲリータは、マリオと仲良くしてくれているルイージにも感謝している。
「それじゃ、まずはこれを飲んでほしいんだ。」
マリオは、このお店の名物となっている『魔法のスプリッツ(アペロール)』を持ってきた。
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つづく
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