1224.【小説】魔法のスプリッツ 第18話
2025/02/18
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魔法のスプリッツ
第18話
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今夜も人々で賑わう飲食店『マリオ・エ・ルイージ』に、新たな客が入ってきた。
その刹那、いきなり大声が聞こえた。
「ん?君たち!いつも私の授業を受けている学生ではないかね!?」
マルコとミケーレは直立不動の姿勢になった。
「明日は期末テストだろう!?こんなところで何をしている!」
「これはこれはジョルダーノ教授!先ほどまで図書館でテスト勉強をしておりましたが、明日に向けて元気をつけるためにここに来たんですよ。ご心配に及びません。」
「うるさい!テスト直前にこんなところにいるなんてけしからん!貴様らは単位なしだ!」
ジョルダーノ教授は鬼の形相である。まさにデモーネ(デーモン、悪魔)のようだ。
「すみません、許してください。ジョルダーノ教授が仰るとおりにいたしますから単位だけは考えてください・・・!」
二人は反省の色を見せている。
———「ミケーレ!さっきまでのテスト勉強で疲れたかい?」
「・・・ん、ああ・・・あれは夢か。」
先ほどの出来事は、ミケーレが見ていた夢だったようだ。
しかし、二人が後ろを振り返ると、やはり後ろのテーブルにはあの人がいた。
「おお、これはこれは。いつも私の授業を受けてくれている学生さんたちだ。」
ジョルダーノ教授は、先ほどの夢とはまさに別人のような穏やかな表情で話す。
「これはこれはジョルダーノ教授!先ほどまで図書館でテスト勉強をしておりましたが、明日に向けて元気をつけるためにここに来たんですよ。ご心配に及びません。」
ミケーレは、先ほどの夢と同じことを言った。
「うむ。それはよろしい。今夜は早く寝るんだよ。」
ミケーレは驚きの表情で、マルコと二人見つめ合ってその驚きを共有した。
「ありがとうございます、教授。教授もここにいらっしゃるのですね。」
「うむ。このピッツァ・ディアボラと魔法のスプリッツ(セレクト)のセットが本当に気に入ってな。仕事でのストレスもすぐ吹っ飛んでいくんだよ。」
「魔法のスプリッツというメニュー名は、僕が考えたんですよ。」
「本当かね?良いメニュー名だ。」
ジョルダーノ教授は、終始穏やかだった。
こうしてマルコとミケーレは、ジョルダーノ教授より先に店を出て、明日に備えた。
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つづく
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