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1222.【小説】魔法のスプリッツ 第17話

2025/02/17

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魔法のスプリッツ

第17話

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マルコとミケーレは、大学図書館で試験勉強を終えた後サンタ・マルゲリータ広場に向かっていった。

試験は明日である。しかし試験勉強というのはそれまでの積み重ねである。一夜漬けでどうにでもなるものではない。ということで、二人は試験前夜にこうやって敢えて勉強をせずに飲みに行くのであった。

「ミケーレ、やっぱり『マリオ・エ・ルイージ』に行くとしようか?」

「そうだな。あそこのスプリッツを飲むと力が湧いてくるからなぁ。」

二人はいつもの飲食店『マリオ・エ・ルイージ』に入っていった。

「チャオ、マルコ!ミケーレ、チャオチャオ!」

やはり緑の格好のマリオが笑顔で出迎えた。赤い格好のルイージは厨房で調理をしているようだ。

「チャオ、マリオ!明日テストがあるんだ。ということで元気を貰いに来たよ。」

「そうなんだねミケーレ!狼の口の中へ行っておいで!」

「狼なんかくたばっちまえ!」

読者の皆さまは、いったいこの人たちは何を言っているのだと思ったかもしれない。

これはイタリア語の興味深いフレーズ「イン・ボッカ・アル・ルーポ」(In bocca al lupo)を直訳したものである。試験などなにかに挑戦する人を応援する時に用いられる。ボッカが口、ルーポが狼という意味である。

これのお決まりの返答が、「クレーピ・イル・ルーポ」(Crepi il lupo)もしくはただ単に「クレーピ」である。狼なんかくたばっちまえ、狼なんかやっつけてやる、といった意味合いのフレーズだ。今回の場合の狼は、ミケーレたちが受験する期末テストのことである。

それでは、これからこのフレーズを意訳したものをリプレイでお送りする。

「そうなんだねミケーレ!テストの幸運を祈るよ。」

「うまくやってやるさ!」

いろんな意訳ができそうだが、今回はこういう訳にした。

こうしてマルコとミケーレは魔法のスプリッツ(アペロール)とピッツァ(クアトロ・フォルマッジ】を注文した。クアトロ・フォルマッジは、4種類のチーズという意味で、チーズがふんだんに使われているピッツァである。

「うん、やっぱりおいしい!魔法のスプリッツだね。」

マルコはこう言った。

「ありがたいことに、マルコが言ったフレーズをメニュー名にしたら売り上げが上がったんだよ!」

ルイージが嬉しそうだ。

「それはよかったです。これからもどんどんメニュー名に使ってくださいね。」

マルコも嬉しそうだ。

すると、白髪で白髭の渋い風貌をした男性が店に入ってきた。

マルコとミケーレの表情が固まってしまった。

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つづく

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