1218.【小説】魔法のスプリッツ 第15話
2025/02/15
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魔法のスプリッツ
第15話
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マルコは、今日もジュデッカ島にある寮から大学へ行ってミケーレと授業を受けている。
「なぁミケーレ、最近デモーネが優しくなってきてないかな?」
「マルコもそう思うか?こうやって小声でなら話してても何も言ってこないしなぁ。」
学生たちからデモーネと呼ばれ恐れられていたシモーネ・ジョルダーノ教授が近頃優しくなったという話が流れている。
かつてのジョルダーノ教授は神経質で、たとえ小声でも私語をしていると注意をしていた。しかし、今日は注意されない。
「それでは、本日の授業はこれで終わりです。質問のある方は私のところに来てください。」
語り口も、前より穏やかである。
「優しくなった理由、聞きに行こうぜ。」
ミケーレがジョルダーノ教授のもとに向かった。
「ジョルダーノ教授!」
「お、何か質問かね?」
「近頃のジョルダーノ教授は、なんというか、以前より穏やかになったように見えますが、気のせいでしょうか?」
「ん・・・、そうですかね。私は今まで通りだと思いますが。」
「こうやって質問にも行きやすくなりましたよ。」
「そうですか。それは良かったです。・・・なんでかなぁ。」
読者の皆さまはお気づきかもしれないが、ジョルダーノ教授が穏やかになったのはマリオとルイージのお店で飲める魔法のスプリッツのおかげである。ジョルダーノ教授はすっかり常連客となり、ピッツァ・ディアボラと魔法のスプリッツ(セレクト)のセットをいつも注文している。このセットを仕事後に楽しむと、いつもニコニコして帰宅している。
まさか、自分のおかげで魔法のスプリッツと名付けられたメニューをジョルダーノ教授も気に入っているとはマルコは思っていないことだろう。マルコとミケーレも常連客なので店でばったり会うのは時間の問題である。
「ジョルダーノ教授!期末テストのコツを教えてくださいませんか?」
マルコは授業に関する質問を尋ねた。
「私が授業で取り扱ったことを、まっすぐに取り組めば大丈夫だよ。」
ジョルダーノ教授は笑顔で答えた。マルコは試験問題も優しくなるのではと油断しそうになったが、まっすぐに取り組むことを決意した。
試験はもうすぐだ。
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つづく
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