1209.【小説】魔法のスプリッツ 第12話
2025/02/12
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魔法のスプリッツ
第12話
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ジョルダーノ教授のテーブルには、ピッツァ・ディアボラと魔法のスプリッツ(セレクト)がある。
「いやぁ、おいしそうだねぇ!」
ジョルダーノ教授は笑顔である。
「ディアボラ、ボクも好きなんですけどそんなに注文されないんですよね。辛いからかなぁ。」
マリオがそう呟いた。
「私は辛いものが好きなんですよ。ディアボラ、いただきますね。」
ジョルダーノ教授が既に均等に切れているピッツァの一切れを持ち上げると、チーズが気持ちよく伸びていった。
そしてすぐに、その辛いソースがかかったピッツア・ディアボラを口の中に放り込んだ。
もぐもぐ口を動かすジョルダーノ教授は、本当に大学内での「デモーネ」と恐れられている風貌とは別人に見えて仕方がない。
「うん、やっぱりディアボラはうまい!」
「いいですよね、ディアボラ。」
「特にこの店のディアボラ、気に入りましたよ。」
「それは良かったです!」
「・・・、ところであなたがルイージさんですか?緑色の格好をしていますから。」
「ボクはマリオです。ルイージは奥にいるあの赤い服の・・・。」
「おっと、それは失礼いたしました。・・・スプリッツもいただきますね。」
ジョルダーノ教授は、スプリッツを飲んだ。
「おお・・・。これは魔法のスプリッツという名前なだけありますね。こちらのレシピは・・・?」
「企業秘密ですよ。変なものは入ってませんから、ご安心ください。」
「そりゃあそうですよね。いやぁ、このスプリッツ、ピッツァとよく合いますねぇ。」
ジョルダーノ教授は、笑顔でピッツァを平らげて店を出た。満足感にあふれる顔をしている。
「あれ、デモーネじゃね?」
「そうだよなぁ、よく似てるよなぁ。今度聞いてみようぜ!」
「あの怖いデモーネに聞くのか?大丈夫か?」
勘の良い学生が、ジョルダーノ教授に感づいた。サンタ・マルゲリータ広場では学生が多く過ごしているのでいくら表情が違っても気づかれてしまった。
「よし、家に帰るか。」
そのことを知らないジョルダーノ教授は、鼻歌を歌いながら家路につくのであった。
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つづく
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