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1199.【小説】魔法のスプリッツ 第7話

2025/02/07

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魔法のスプリッツ

第7話

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マルコは、大学の同級生のミケーレとともにサンタ・マルゲリータ広場にある飲食店『マリオ・エ・ルイージ』に入っていった。

「チャオ、ミケーレ!今日は連れと一緒かい?」

緑の帽子を被り、緑の服を着た男が出迎えてくれた。この人がルイージか?とマルコは思った。

「チャオ、マリオ!そうだよ、大学で一緒に授業を受けてるマルコと一緒なんだ。」

「こっちがマリオかい!」

マルコは思わずツッコんでしまった。

「ボクだよ!マリオだよ!!マリオ・ヴェルディさ。はじめまして、マルコ!」

なるほど、マリオの苗字はヴェルディである。ヴェルディとはイタリア語で「緑」という意味だ。このことは日本のサッカークラブ『東京ヴェルディ』のクラブカラーが緑であることから、サッカーが好きな方にはおなじみかもしれない。

「お客さんかい?」

新たに赤い帽子を被り、赤い服を着た男が出てきた。こっちこそルイージだろう。

「チャオ!オレはルイージ。ルイージ・ロッシだ。ミケーレの連れなら、サービスしちゃうぜ。」

ロッシとはイタリア語で「赤」という意味だ。苗字が違うので兄弟ではないマリオとルイージだが、偶然にも苗字が色にまつわるものなので、緑のマリオと赤のルイージなのである。

「混乱しちゃうなぁ。」

マルコは思わず呟いた。

「ボクはマリオ・ヴェルディだから緑のマリオ。こいつはルイージ・ロッシだから赤のルイージ。簡単じゃないか!」

「どっちがどっちだか間違えてしまっても、すみません!」

「大丈夫だよ。」

この店の二人は寛大なようだ。

「ミケーレ、いつものでいいかい?」

「うん、ルイージ。マルコにも同じのを頼むよ。」

「あいよ。」

ミケーレが、いつも頼んでいるメニューを2人分注文した。

「ねぇミケーレ、ここのスプリッツは他のとどう違うの?」

「それは来てみてからのお楽しみさ。」

しばらくすると、マリオがスプリッツを持ってきた。そのグラスは、電灯の光に照らされてキラキラと輝いていた。

...

つづく

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