1193.【小説】魔法のスプリッツ 第4話
2025/02/04
...
魔法のスプリッツ
第4話
...
マルコは、ローマ広場にたどり着いた。
ローマ広場という名前だが、ヴェネツィアにある広場だ。逆にローマにも、ヴェネツィア広場があるらしい。
このローマ広場には、ヴェネツィアの島と本土を結ぶバスが運行されている。リベルタ橋と呼ばれる長い橋をバスで渡るのである。ヴェネツィアは基本的に車の通行はできないが、こうやってローマ広場周辺など、例外がある。
「このあたりは、いつ見ても他に比べて現代的だなぁ。」
車道やバス・車があることに加えて、現代的な建物が多く見られるこのエリアは、歴史ある建物が集まるヴェネツィアにずっと住んでいるとかえって新鮮に思えてくることがある。
そしてマルコはすぐに、やはり現代的な橋であるコスティトゥツィオーネ橋を渡ってからサンタ・ルチーア駅の前を通り過ぎた。
有名なイタリアの楽曲『サンタ・ルチア』と同じ名前だが、直接的な関係はない。とはいえ、同名なこともあり「サンタ~ル~チ~ア~♪」と歌っている観光客がたまにいる。
駅を通り過ぎたマルコは、飲食店が集まるエリアに来た。やはりここでもスプリッツを飲みながら会話を楽しんでいる人々が多く見受けられる。
「スプリッツって・・・そんなに美味しいのかなぁ。」
そもそもお酒自体飲んだことがないマルコだが、この日はなぜかスプリッツに興味が湧いてきている。
そして、グーリエ橋を渡らずに左へ曲がりまっすぐ。トレ・アルキ橋の近くに大学のキャンパスがある。
「チャオ、マルコ!」
声をかけてきたのは、同級生のミケーレだ。マルコとはよく一緒に授業を受ける間柄である。
「チャオ、ミケーレ!・・・スプリッツって美味しいの?」
マルコは、自分でも驚いた。なぜこんなことを尋ねてしまったのだろう。ちなみに、ミケーレはお酒が好きなのである。
「お、マルコもついにスプリッツに興味が出てきたか?なんか嬉しいなぁ。よし、今日の授業が全部終わったら俺のおすすめのお店に一緒に行かないか?」
「いや・・・でも・・・。」
「いいから行こうぜ!」
「うん。」
スプリッツはヴェネツィアの至るところで飲むことができるが、ミケーレのおすすめのお店となるとマルコは気になったのであった。
...
つづく
...