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1186.【小説】魔法のスプリッツ 第1話

2025/02/01

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魔法のスプリッツ

第1話

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マルコは、イタリアの『水の都』と呼ばれている街・ヴェネツィアで生活している大学生である。

マルコと聞くと、日本の人々であれば某国民的アニメの女の子を連想してしまうものだが、イタリアではよくある男性の名前である。

「ああ、今日もよく寝た。着替えて準備して、大学へ行くか。」

マルコは、ヴェネツィア本島の南にあるジュデッカ島という島にある学生寮に住んでいる。本島から海を隔てた場所にあることもあり、本島に比べて家賃が割安なので学生にとってはありがたい。

チャオやぁ、マルコ!」

「チャオ、パオラ!」

マルコが住んでいる学生寮はまるでホテルのような建物になっており、毎回受付に鍵を預けて外出するようになっている。

今回の受付は、パオラという40代くらいの女性だ。受付を担当している職員は5人ほどいるが、毎日誰かしらに遭遇するのですっかり顔見知りである。

「・・・、やっぱりカプチーノはうまいな。」

学生寮の入口付近にある自販機で、カプチーノを買って飲むのがマルコのルーティンだ。ちなみに、朝食は既に部屋で済ませている。

イタリアでは、カプチーノは朝に飲むことが一般的である。よりイタリア語の発音に近づけるとカップッチーノ(cappuccino)と表記すべきなのだが、日本で一般的なカプチーノとこれからも表記しよう。

「おお、朝からやってるねぇ。」

ヴェネツィアは観光地なこともあり、朝から飲食店では酒を片手に語り合っている人々がたくさんいる。それにしても、イタリア人は陽気な人々が多いイメージがあり、その笑顔にはこちらも笑顔にさせられる。

こうやって、飲食店で特に赤いカクテルを飲んでいる人々がよく見受けられる。

そのカクテルは、「スプリッツ」と呼ばれている。

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つづく

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