913.【漫画紹介】「引きこもり」という言葉がなかった1971年に発表された、藤子不二雄Ⓐ先生による読み切り漫画『明日は日曜日そしてまた明後日も……』。【僕は発達凸凹でも、前向きに生きていく。第81回】
2024/08/20
※この記事での私の特徴は自閉スペクトラム症(ASD)や発達性協調運動症(DCD)当事者の特徴のうちの、ほんの一例です。全ての神経発達症(発達障害)当事者に当てはまるわけではなく、特徴は十人十色だということをご理解いただけると幸いです。また、このシリーズにおける凸凹とは、凸が得意なことや強み、凹が苦手なことや困難を感じること、という意味合いで用いています。
本記事の著者による講演動画
こちらの講演会の資料など詳細は、こちらの記事をご覧ください。
...
【漫画紹介】「引きこもり」という言葉がなかった1971年に発表された、藤子不二雄Ⓐ先生による読み切り漫画『明日は日曜日そしてまた明後日も……』。
今回は、興味深い漫画作品を知りましたのでご紹介いたします。
漫画『明日は日曜日そしてまた明後日も……』
『笑ゥせぇるすまん』や『忍者ハットリくん』、『怪物くん』、藤子・F・不二雄先生との合作の『オバケのQ太郎』などで知られる藤子不二雄Ⓐ先生による読み切りの漫画作品です。
こちらのⒶ先生の公式サイトにて、試し読みという形式でお読みいただける作品です。全部で24ページの短編読み切りですから、すぐに読み終えることができます。
主人公は大学を卒業して入社1日目の22歳・田宮坊一郎です。しかし、坊一郎は会社に行くことができずにやがて引きこもりになってしまう様子が描かれております。
現代でこそ、社会に馴染むことができず引きこもりになってしまう人々が広く知られるようになりましたが、この漫画が発表された1971年当時でも、この坊一郎のような人々は少なくなかったことでしょう。
会社に通勤して、同僚と協調して仕事をこなしていく。ある人にとっては「当たり前」と思えることができない人々がこの当時にも、現代にも、一定数いるのです。
かくいう私も、こうやって記事を書くことなど一人でできる作業は得意(凸)なのですが、チームやグループで他の人々と協力しながら作業をするのは苦手(凹)です。そんな私ですから、坊一郎に感情移入しながら読み進めました。
作中で坊一郎は、医師から「社会とか組織とかいうものに対する協調性・同化性が失われている」人物と判断されております。先ほどご紹介した電子書籍版では「勤めにでることができない病気」という表現になっておりますが、掲載当初はなんと「一種の自閉症」という表記が用いられていたそうです。
私が先日こちらの記事で述べたように、「自閉」という文字から受ける印象として、自分の殻に閉じこもるというイメージがありますのでこのような表記が用いられたのでしょう。そしてこれは大きな誤解ですので、現在は修正されているのでしょう。私も自閉スペクトラム症(ASD)の当事者ですが、自分の殻には決して閉じこもらず、こうやって発信活動をしております。
1971年当時の「自閉症」に対する社会の一般的な理解についても知ることができたことも興味深いです。
...
...
...
今回は、今から50年以上前の1971年に発表された藤子不二雄Ⓐ先生による読み切り漫画作品『明日は日曜日そしてまた明後日も……』をご紹介いたしました。
まだ「引きこもり」という言葉がなく、現代ほどそのような人々が知られていなかった時代にこのような漫画があったのか、と興味深く拝読いたしました。
...
お読みいただき、ありがとうございました。