887.【悩んでいる方々へ】周りの人々ができるからと言って、みんなができるとは限らない。【僕は発達凸凹でも、前向きに生きていく。第76回】
2024/08/04
※この記事での私の特徴は自閉スペクトラム症(ASD)や発達性協調運動症(DCD)当事者の特徴のうちの、ほんの一例です。全ての神経発達症(発達障害)当事者に当てはまるわけではなく、特徴は十人十色だということをご理解いただけると幸いです。また、このシリーズにおける凸凹とは、凸が得意なことや強み、凹が苦手なことや困難を感じること、という意味合いで用いています。
本記事の著者による講演動画
こちらの講演会の資料など詳細は、こちらの記事をご覧ください。
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周りの人々ができるからと言って、みんなができるとは限らない。
人それぞれ、得意なこと(凸)と苦手なこと(凹)は異なります。
人々と一緒に活動することが得意(凸)な人がいれば、一人でコツコツと活動する人が得意(凸)な人もいます。
周りの人々に合わせて行動することが苦手(凹)な人がいれば、一人でいることが苦手(凹)な人もいます。
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このように、人それぞれ、何が得意(凸)で何が苦手(凹)かは実に異なります。この凸凹の傾向が全く同じ人は存在しません。
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【小話】とある、10人の集団。
例え話として、とある架空の10人の集団(グループ)を登場させます。
この10人のうち9人は、テキパキと速い速度で作業することが得意(凸)です。
この9人ではない残りの一人、天田侑一(架空の人物)は作業する速度が遅くて(凹)、いつも叱られていました。
「おい天田!まだ終わっていないのか?」
「天田はいつも鈍いな・・・。」
天田はこういったことを毎日のように言われ続けていました。
ある日、他のグループの人が見に来ました。
「君、作業が丁寧(凸)だね。」
その人がこう言ったので、天田は驚きました。
「でもいつも作業が遅くて叱られてばかりで・・・。」
「うちのグループでは、こういったゆっくり丁寧に作業ができる人が欲しいんだ。天田くん、こっちに来ないか?」
まさかの誘いに、天田は次のように言いました。
「・・・ぜひ!私でよろしければ、お願いします!」
こうして、天田は自分の丁寧さを活かすことができるようになりました。
めでたしめでたし。
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ついつい、ちょっとした小話を書いてしまいました。
この小話での天田は、もともとのグループでは「作業が遅い落ちこぼれ」と認識されていました。
しかし、別のグループにとっては「作業が丁寧で優秀な人材」と認識されたのです。
このように、所属する環境によって人の能力が全く異なる判断をされることがあるのです。
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つまり、周りと同じようにできなくて悩んでいる方々がいらっしゃるかもしれませんが、環境が変われば自分と同じようなタイプの人も必ずいます。
周りと自分が違うからといって、自分がおかしいとは限りません。むしろ、周りのほうがおかしいこともありえます。
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周りが好きだからといって、みんな好きとも限らない。
また、この社会には様々なものがあります。
いくら「流行している」ものや「周りが好きなもの」だからといって、みんながそれを好きだとは限りません。
「周りが好きなもの」を好きになれないことがあっても、それはおかしいことはなく、いたって正常なことなのです。
「すべての人が好きなものは存在しない」ということを認識することができれば、自分が異常ではないことを認識できます。
私は興味の幅が広くていろいろなものを好きになる可能性がありますが、それでも好きになれないものもあります。それが人間で、それが正常なのです。
「得意・苦手は人それぞれ。」そして「好みは人それぞれ。」多くの人々にこのことを意識していただけると、より寛容な社会になるのではないかと考えております。
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お読みいただき、ありがとうございました。