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372.おはなし『パオロは、いい。』その10 おそうじは、ていねいに。

2023/09/20

※このおはなしは、ほんとうではないおはなし(フィクション)です。ちいさいどもや日本語にほんごまなんでいるひとたちにもよみやすいよう、かんたんな日本語にほんご、いわゆる「やさしい日本語にほんご」でかかれています。

...

パオロがかよう学校がっこうでは、おそうじのじかんがある。

今日きょうは、きょうしつをきれいにしましょう!」

エンマ先生せんせいのあいずにより、どもたちはそうじをはじめた。

「ほいほいほ~い!」

「エミリオくん、今日きょうもはや~い!」

アリーチェが、エミリオのそうじのはやさをほめた。

「ほいほいのほいほ~い!」

エミリオは、ひとりできょうしつをつぎつぎとそうじしていく。

「エミリオくん、今日きょうもよくうごきますね!ひとりでこんなにきれいにしたんですか!」

エンマ先生せんせいもエミリオをほめている。

...

「・・・。」

パオロも、ゆっくりとそうじをしている。

「おいパオロ!まだこれだけしかできてないのか?」

エミリオがいつものようにパオロをいじる。

「ボクは、エミリオみたいにはやくできないよ!」

うごきがおそいパオロは、くやしいきもちだ。

「くやしかったら、もっとはやくそうじしろよ!」

「それは、できないよ!」

...

「みなさん、おそうじおつかれさまでした!」

おそうじが、おわった。

「エミリオくん、いちばんおおくのばしょをそうじしましたね!さすがです!」

「へへへ、ほいほいほ~い!でやりました!ありがとうございます!」

エミリオは、ほんとうによくうごく。

...

「パオロくんは・・・、これだけですか。」

エンマ先生せんせいは、きびしいかおをしている。

「すみません・・・、ボク、うごきがおそいので!」

「・・・、でも・・・、パオロくんがおそうじしたところは、おそうじのまえよりかなりきれいになっていますね!ゆっくりでも、ていねいです!」

「ボク、ていねいなんですか!?」

「そうです。エミリオくんとはちがったよさがありますね。エミリオくんは、おおくのばしょをそうじしてますが、ところどころきれいになっていないばしょがありますからね。」

「ほいほいほ~い!だとそんなこまかいところまでできないんですよ!」

「そういうこまかいところは、パオロくんみたいなタイプのがいつかきれいにしてくれますよ。」

「パオロ・・・そのときは、たのむ。」

エミリオも、いつもはパオロをいじるが、パオロのいいところをみとめたようだ。

「エミリオ・・・もちろん!」

パオロは、えがおでおうじた。

...

つづく