山田隆一公式サイト

247.【エッセイ】セミが鳴いている

2023/07/27

今日も、セミが鳴いている。

我々はいろいろな感覚から、夏を感じることができる。

視覚からは、青々と生い茂っている木々や草花から。

嗅覚からは、その木々や草花の匂いはもちろん、焼けた大地の匂い。アスファルトの焼けた匂いも、独特だ。

味覚からは、やはり塩味だろうか。汗をいっぱいかくからこそ、塩分補給が大事だ。ゆえに塩味を感じ取る感覚が、夏は鋭くなっていることを想像する。

触覚からは、その暑い気温だろう。夏は、本当に暑い。日に当たっている金属に触れると、それは本当に熱々としている。ずっと触っていると、火傷をしてしまうので一瞬しか触ることが出来ないことがある。

これらの感覚でも、もちろん夏を感じることができるのだが、僕は特に聴覚で夏を感じる。

セミの元気の良い鳴き声は、夏ならではだ。この鳴き声が聞こえると、僕は夏が来たと思える。

セミは一生のほとんどを土の中で過ごして、地上に出てきて勢いよく鳴き声を出すのはごくわずかな期間だけだと聞いたことがある。

長年の間土の中で蓄えたエネルギーを、地上に出てきてこれでもかと発散させていることが感じられる。

その鳴き声なので、僕にはとても印象に残る鳴き声に思え、やはりこれを聞くと夏をより感じることができるのだ。

そして、地上で生きられるのは土の中の時間に比べるとごくわずかなものなので、その儚さも感じることができ、勢いが良い鳴き声の中にも、哀愁を感じることができる。

セミたちよ、今年も元気よく鳴いてくれて、夏を知らせてくれて、ありがとう。

今年の夏は、何が起こるだろうか。暑いので気をつけながら、過ごしていこう。

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セミの抜け殻。

先日著者が撮影したセミの抜け殻