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161.戦前・1939年(昭和14年)の名曲、『一杯のコーヒーから』。

2023/06/21

私は1993年(平成5年)の生まれなのですが、幅広い年代の音楽を聴くことが好きです。

近年、昭和の音楽が好きな若い世代が増えたとのこともあり、テレビでは昭和の音楽を特集する番組が放送されることが増えました。

しかし、そこで取り上げられる音楽のほとんどは昭和の後期から末期である1970年代から80年代の音楽です。もちろん、この年代の音楽にも私の大好きな曲はいっぱいあるのですが、より幅広い年代の音楽を聴く私は、もっと前の年代にも良い曲がいっぱいあるのに、とムズムズした気持ちになってしまいます。

そうではあるものの、70年代より更に前となると当時を知る人々が少なくなっていることに加えて、だいぶ前の時代になると資料もよく残っていないこともあり、テレビで頻繁に取り上げることは難しいことは理解できます。

ということで、微力ながら往年の名曲をご紹介する企画を本ブログで始めてみようと思います。

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本日ご紹介する楽曲は、戦前である1939年(昭和14年)に発表された『一杯のコーヒーから』という楽曲です。

戦前の音楽は、現代の音楽に比べてはるかに落ち着いた曲調のため「暗い」というイメージを持たれがちかもしれません。私は特別暗いとは思わないのですが、そういう印象があります。

この『一杯のコーヒーから』は、この時代の中では明るいほうと言える曲調です。ジャズの要素を感じ、軽快なリズムが流れています。

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作詞を担当したのは、私の地元である長崎県出身の藤浦洸です。『一杯のコーヒーから』を聴いて大変気に入ったので調べてみると、作詞をした方が同郷と知り、誇らしい気持ちになったことを覚えています。藤浦洸が生まれ育った平戸市にはその功績を称えて、『平戸のうた』という歌の歌碑があるようです。私が住む長崎市からは距離がありますのであまり行ったことがないのですが、今度平戸市を訪れる機会がありましたら、是非この歌碑を見てみたいものです。

本当にこの歌詞からは情景がパッと思い浮かびます。その上で、多くが語られず聴く方にいろいろと想像をさせるような歌詞です。

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作曲を担当したのは、『東京ブギウギ』や『青い山脈』などの名曲で知られ、国民栄誉賞も受賞した作曲家の服部良一です。ご本人はもちろん、長男・服部克久、孫・服部隆之と3代にわたって作曲家として知られております。

服部良一は同じく作曲家の古賀政男や古関裕而らと並び、戦前から戦後にかけて数々の名曲を残した方ですので、これからも往年の名曲を特集する際には登場する方です。

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そして歌唱したのは霧島昇とミス・コロムビアの2人です。このお二方は、この楽曲を発表した1939年に結ばれ、ご結婚されたそうです。この事実を知った上で聴くと、さらに味わい深いものですね。録音の際はお互いを想い、微笑ましい雰囲気だったことを勝手に推測してしまいます。

時代によって歌手の歌い方が異なることも、様々な時代の音楽を聴くことの楽しさの一つです。それぞれの時代の歌い方も感じながら聴いています。

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芸術作品は、発表された際に流行したものでも、だんだんと忘れ去られて行ってしまうものがある運命です。

しかし、本当に良い作品は後年になっても評価されるものです。今回特集した『一杯のコーヒーから』も、1939年、実に84年前の楽曲ですがいつまでも聴かれていく素質のある名曲だと個人的には思い、特集いたしました。

この楽曲に関わった皆さまはもうこの世にはいませんが、それでも作品はいつまでも残り続けますから、私のようにはるか後の時代に生まれた人でも楽しむことができます。

素晴らしい作品を残してくださった先人たちに感謝しながら、これからも様々な時代の音楽を楽しんでいきます。