99.通信制高校で、高校生の多様性を知る。【僕は発達凸凹でも、前向きに生きていく。第15回】
2023/05/16
※この記事での私の特徴は自閉スペクトラム症(ASD)や発達性協調運動症(DCD)当事者の特徴のうちの、ほんの一例です。全ての神経発達症(発達障害)当事者に当てはまるわけではなく、特徴は十人十色だということをご理解いただけると幸いです。また、このシリーズにおける凸凹とは、凸が得意なことや強み、凹が苦手なことや困難を感じること、という意味合いで用いています。
本記事の著者による講演動画
こちらの講演会の資料など詳細は、こちらの記事をご覧ください。
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前回の記事にて、不登校経験について述べました。最初に入学した高校である進学校での在籍は2年生までとなり、3年生から通信制高校に転入し、過ごすこととなりました。
当時は、進学校に在籍していると陥りがちな「勉強ができた方が偉い」「良い大学に入れた人が偉い」といった、「学力至上主義」といえる偏った考えに陥っていました。当時の私は疑うことがあまりわからず、教員の言うことを素直に聞いて信じやすい人間だったため、こうやって「洗脳」されることはたやすいことでした。私は元来、良く言えば素直(凸)なのですが、悪く言えば騙されやすい(凹)タイプの人間です。現在は、素直で正直なところはある程度活かし、騙されないように時には批判的に考えることを心がけています。
この私が、不本意ながら通信制高校に転入することとなりました。しかし、そこで目の当たりにしたのは高校生の多様性です。
通信制高校には、年齢も経歴も様々な生徒が在籍しておりました。私のように他の学校に馴染めずに転入してきた生徒はもちろん、30代や40代で社会人として働きながら、高校を卒業しようと決意した生徒もいらっしゃいました。
特に私の心に残ったのは、卒業式での70代の方のスピーチです。当時は通えなかった高校に通えた喜びや、自分の孫ほどの年齢の生徒との微笑ましい交流が語られていました。当時は現在ほど涙もろくはなかったのですが、それでも心に来たスピーチでした。現在聴いていたら、確実に涙を流していることでしょう。
何歳になっても、学ぶ姿勢を持つことは素晴らしいことだと思います。私もこの方のように、何歳になっても初心を忘れず、謙虚に学んでいきたいものです。
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このように、通信制高校には様々な年齢・経歴の生徒が在籍しており、高校生といっても本当にいろいろな方がいるのだということを実感できました。もちろん前に在籍していた進学校でもいろいろな生徒がいましたが、年齢や経歴の幅広さは、こちらの通信制高校のほうがよりありました。
そして、「勉強ができた方が偉い」といった偏った考えが緩和されていきました。もちろん学力も大事ですが、それよりも人間性を高めることが大事だと現在は考えます。通信制高校での経験により、この多様性豊かな世の中で、「いろいろな人がいる」ということを知り、人の気持ちがわかる人間になろうと思いました。
転入当時は不本意でしたが、上記のように現在は通信制高校に転入して良かった、と思っています。模試や補習だらけの進学校の3年生は、私にとっては耐え難いものだったでしょう。確実に精神を病んでいたと思います。向いている人には良いと思いますが、私には明らかに向いていません。この地獄を回避できたことも、結果的には良い方向に進んだと思われます。
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今回は、私の通信制高校在籍時について述べました。この記事に関するご質問や、他に「このことについて書いてほしい」などのご要望がございましたら、いつでもこちらからお気軽にご連絡ください。