53.腹が、減った。
2023/04/13
腹が、減った。
とあるドラマがお好きな方は、このフレーズを聞くと思い浮かぶ顔があることでしょう。
そうです、『孤独のグルメ』です。私が大好きなドラマの1つです。
このドラマは、個人で輸入雑貨商を営む井之頭五郎(以下、愛着を込めて五郎さんと呼びます)が、顧客の元で商談を終えたあとお腹が空いて、それぞれの場所の美味しいお店を自らの足で探し、美味しそうに食事をするドラマです。
『孤独のグルメ』の魅力は、美味しい食事はもちろん、繰り広げられる人間ドラマです。五郎さんが訪れる顧客は個性豊かな人々が登場し、商談の中で繰り広げられるコミカルな掛け合いは見ていて微笑ましいものがあります。
五郎さんは基本的に礼儀正しく、大人で紳士的な対応をするキャラクターなので、ビジネスの現場でどのような大人の対応をすれば良いか勉強になるところも好きです。しかしながらあまりにも癖のある顧客には、五郎さんなりの仕事の流儀を発揮するところも人間味を感じます。「KYアフェリエイトプロダクツ」という架空の会社が出てくる回なのですが、普段は温厚な五郎さんが感情的になるのも理解できるくらいひどい会社です。こういうところでも大人の対応をするのはさすが五郎さんです。
こうして顧客とのやり取りを終えたあと、毎回決まってお腹が空きます。私を含めた主に若い世代は、ついスマホでお店を探しがちなのですが、五郎さんは自らの足を頼りにお店を探します。「ここはちょっと今の気分ではない」などと見極めながら、直感で美味しいお店を探す姿勢にも人間味があります。
『孤独のグルメ』に登場するお店は、昔ながらの大衆食堂から、おしゃれな雰囲気の隠れ家的なお店まで幅広いです。和食はもちろん、世界各地の料理のお店が登場します。五郎さんが美味しそうに食べている映像を観ていると、実際に食べてはいないのに、私が食べたらどんな感じかを想像することができ、しあわせな気持ちになります。
また、一人で飲食店に入店した際、どのように行動すれば良いかがマニュアル的に学べるのも本当に助かります。五郎さんは仕事の時だけでなく、プライベートでも本当に礼儀正しい人物なので、模範的な注文方法などが学べます。私もよく一人で飲食店に行きますが、五郎さんの振る舞いの影響を受けています。
五郎さんは、料理と真剣に向き合います。舌だけでなく、全身で味わっています。私も一人で飲食店に行く際は目の前の食べ物に全集中し、全身で味わうことを心がけています。この行為は、いわゆる「食事瞑想」とも言われているようです。食事しながら瞑想でリラックスですね。
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『孤独のグルメ』の本編は、こうして五郎さんが完食し、お店を出ると終了するのがお決まりの流れです。この後流れる、『ふらっとQUSUMI』という『孤独のグルメ』の原作者・久住昌之がその回のドラマ本編に出てきたお店を実際に訪問し、好きなメニューを頼みながらトークを繰り広げる企画も好きです。
料理に関する難しい話を抜きにして、どちらかというと感覚的に料理を楽しむ「久住イズム」に共感します。したがってドラマ本編にも、そこまで難しい話は出てきません。五郎さんは下戸でお酒が飲めない設定のため、『ふらっとQUSUMI』ではビールを「麦ジュース」、日本酒を「井戸水」などと別の呼び方をしながらお酒を楽しむユーモアも良いですね。
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ちなみに、五郎さんを演じる俳優・松重豊は、福岡出身として知られていますが、生まれは長崎だそうです。『孤独のグルメ』スペシャルで福岡に出張に行く回が昔ありましたが、長崎に行く回があると嬉しいと、長崎の『孤独のグルメ』ファンとしては思います。
ただ、もともと少食な上に、年齢的なこともありたくさん食べなければならない五郎さん役はつらい、というような旨のインタビューでの発言があります。どうかご無理はなさらず、可能な限りで良いので続いていただければと思っております。
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