559.【映画『PERFECT DAYS』感想】主演・役所広司による名演から、一日一日を「自分なりに」楽しむことを意識する。
2023/12/27
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今回は、ヴィム・ヴェンダース監督・役所広司主演の映画『PERFECT DAYS』を鑑賞いたしましたので、その感想を自分なりに述べます。
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※本記事は、映画の感想について述べる記事です。これから映画を鑑賞予定の方で、映画の内容について知りたくない方はご注意ください。
これから以下の5つの点に分けて述べます。
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①主演・役所広司による名演
②「トイレ清掃員」という、皆にとって身近な職業
③作品を彩る、音楽たち
④平山と、様々な人々とのふれあい
⑤印象的に使用された、木漏れ日の描写
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①主演・役所広司による名演
本作では、私が住む長崎県出身の俳優・役所広司が主演を務めております。渋谷区のトイレ清掃員の平山を演じております。
この方はつい最近もドラマ『VIVANT』で素晴らしい演技を披露しているところを拝見いたしました。
こちらのニュース映像によると、12月2日には、平山の妹役として出演した同じく長崎県出身の女優・麻生祐未とともに舞台挨拶で長崎にいらっしゃったそうです。
舞台挨拶の映像の後のインタビュー映像を拝見しても、これまでに数多の名演をしてきたにもかかわらず、偉そうなそぶりを見せません。演技力だけでなく、その人柄にも魅力を感じる方です。このような方が同じ長崎県出身だという事実を誇りに思います。
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この主役である平山は、トイレ清掃員として働く1日の行動をある程度ルーティン化しております。
住んでいる東京スカイツリーの近くにあるアパートの部屋の外から聞こえるほうきで掃く音で目が覚め、そこからどの日も同じ手順を実行してから家を出て仕事に出かけます。一日一日、そのシーンが流れますのでその手順を私もある程度覚えてしまいました。
特筆すべきは、同じ手順ながらもその時の気分や、前日何があったかなどによる些細な表情の違いが演じ分けられていることです。
平山は非常に無口な男で、一人でいるときはもちろん、他の誰かといるときもあまり喋りません。しかし、行動やジェスチャー、そして表情などにより喋らなくても様々なことが伝わってきます。言葉数は少ないものの、非常に人間味溢れる人物として描かれております。私も口下手で、あまり口数が多いほうではありませんが、平山を見ていると無口でも魅力的な人間になれる、と励まされました。
役者といえば台詞を覚えて、言葉で演じるイメージがありますが、このように台詞が少なく、細かな表情などで演じなければいけない役柄も、高い演技力が要求されることでしょう。それを、役所広司という名優が、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞したのも納得な演技で平山を演じております。
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②「トイレ清掃員」という、皆にとって身近な職業
私たちは毎日トイレを利用します。トイレは毎日利用されると汚れます。汚れるとそれを清掃する方がいます。トイレ清掃員は、それだけ私たちにとって身近な方々です。
私は以前から、トイレ清掃員の方々に遭遇すると、声には出さないものの「この方々のおかげで快適にトイレを利用することができる、ありがたい」と思っておりましたが、この『PERFECT DAYS』を鑑賞したことによりその気持ちが強くなりました。
同じように、道路工事をしている場面に遭遇すると、「この方々のおかげで道を通ることができる、ありがたい」と思っております。他にもこのような例がたくさんあります。
この社会の様々なものは、それに関わる様々な方々が仕事をしたおかげで成り立っております。この映画でのトイレ清掃員の例により、そのことをより意識するようになりました。
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③作品を彩る、音楽たち
平山は自宅のアパートや仕事で用いる車で音楽を聴くことが趣味の一つです。
アニマルズの『The House of the Rising Sun(朝日のあたる家)』やヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『Pale Blue Eyes』、そのヴェルヴェット・アンダーグラウンドのフロントマン、ルー・リードのソロ楽曲の『Perfect Day』、キンクスの『Sunny Afternoon』、金延幸子の『青い魚』・・・、他の楽曲もどれも私の好みの曲調ばかりで、平山と音楽の趣味がかなり合うなと思いました。
平山は、これらの往年の楽曲をカセットテープで聴いております。かたや、私はサブスク(定額制音楽配信サービス)で聴いているのはジェネレーションギャップですね。私は30歳、柄本時生が演じたトイレ清掃員の同僚・タカシの世代です。平山がSpotify(サブスクの一種)をお店の名前だと勘違いしたシーンを微笑ましく拝見いたしました。
そのSpotifyで、『PERFECT DAYS』で用いられた楽曲をまとめたプレイリストを作成した方がいらっしゃいましたので、こちらでご紹介しておきます。
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このルー・リードの『Perfect Day』という曲名が、この映画のタイトル『PERFECT DAYS』の由来の一つなのかな、と想像してしまいますね。
また、中野有紗が演じた平山の姪のニコという役があるのですが、このニコという名前も、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのバナナのジャケットで有名な『The Velvet Underground and Nico』というアルバムで参加したニコという歌手が名前の由来なのかな、と想像してしまいます。
こうやっていろいろと考察ができるほど、使用されている音楽も魅力的な映画です。
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④平山と、様々な人々とのふれあい
平山は口数は少なく、独身で独り暮らしながらも、様々な人々とのふれあいを楽しんでいることが伝わってきました。
トイレ清掃員として勤務している間の同僚とのふれあい、仕事後の銭湯や飲み屋でのふれあい、趣味の読書のための古本屋でのふれあい、写真撮影のためのカメラ屋でのふれあい・・・、このような人々とのふれあいがあることで、ルーティン化されている日々の行動の中にも変化が生まれ、それにより平山が一日一日を自分なりに楽しんでいることが伝わってきます。
銭湯では大相撲中継、浅草の飲み屋では野球中継がテレビで流れておりました。相撲ファンの私は、大相撲中継が少しでも映ると反応してしまいますね。ちなみに確か、阿武咲関がテレビ画面に映っておりました。
こういった日常風景を取り入れながら、日本のトイレ清掃員として働くとある男性の、まるでドキュメンタリーのような映像となっております。
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⑤印象的に使用された、木漏れ日の描写
この『PERFECT DAYS』では、太陽を使った描写が印象的でした。
平山は毎朝、アパートを出る際に空を見上げて朝日を浴びながら笑みを浮かべます。まるで「今日はどんな楽しいことがあるのかな」と希望を持っているような姿に、私もこれから、なるべく笑顔で新しい一日を始めようかな、と思えました。
また、ベンチに座って休憩している際にカメラを取り出して木漏れ日を写真におさめる姿が特徴的です。こちらもカセットテープと同様、フィルムカメラでありカメラ屋にフィルムを現像しに行くシーンが流れます。
私も映画を鑑賞後、改めて木漏れ日の良さを噛み締めましたので撮影いたしました。他にも木漏れ日の写真を撮影いたしましたので、今後ご紹介いたします。ちなみに私はデジカメによる撮影です。いつかフィルムカメラでも撮影してみたいですね。
もともと木漏れ日は好きだったのですが、平山も木漏れ日が好きとは、音楽といい、勝手ながら平山にはかなり親近感がありますね。
エンドロールの後に「木漏れ日」という単語の説明が流されるくらい、木漏れ日に焦点が当たった映画でした。
「木漏れ日」という単語は日本語特有であり、木漏れ日に趣を感じることは、日本的だそうです。この『PERFECT DAYS』をご覧になった世界中の方々が、木漏れ日の良さを知ったかもしれませんね。
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他にも語りたいことがたくさんあるほど、私にとっては大変魅力的な映画でした。一日一日を、「自分なりに」楽しんで、自分ならではの幸せを見つけていこうと思いました。そしてまたいつか見返したい、大切な作品となりました。つまり、『PERFECT DAYS』の私の評価は・・・、
10段階で、10です!
この評価方法は、映画をご覧になった皆さまだと必ずニヤリとするはずです。
このような素晴らしい映画を製作してくださったヴィム・ヴェンダース監督や主演の役所広司をはじめとする皆さまに感謝して、この記事を終えます。
ご覧いただき、ありがとうございました。
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