山田隆一公式サイト

1400.【エッセイ】『ヘルプマーク』

2025/05/05

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『ヘルプマーク』

皆さまも、バスや電車に乗る際に「席を譲るべきか否か」迷うときがあることだろう。

私も先日、バスに乗った際にそのような場面に遭遇した。

座ったのは入口近くの一人掛けの椅子。乗車した時点である程度の乗客がいたので、いつかは席を譲ることになる可能性が高かった。

しばらくすると、小さな子どもを抱いた女性が乗車した。

「これは・・・席を譲るべきか・・・?」

迷う状況だった。黙って席を立とうか・・・?とも思ったが、あたふたしていると前の席に座っていた男性が席を立ち、その女性に席を譲った。

金髪で派手な服装をした若い男性だったが、礼儀正しい態度で席を譲る様子に感服した。

私は人を見た目だけでは判断しないタイプではあるが、こういう場面を見ると、やはり人は見た目ではないと思えた。

その後もバスに乗っていたのだが、乗客はだんだん多くなってきた。

やがて乗車してきた年配の女性。杖をついていた。これは明らかに席を譲るべきだと思った次の瞬間、この女性のバッグにヘルプマークが下げられていた。これは確実に譲るべきだと確信した私は席を立ち上がった。

「こちらへ、どうぞ。」

私の声に気づき、その女性は席に座ることができた。

「どうもありがとう。」

女性は笑顔になった。心温まる瞬間である。私としては当然のことをしたまでであるが、人が笑顔になるのを見るのは嬉しい。

・・・私が席を立ってから少しの時間が経った。

(トントン)

その女性が少し触れた。

振り返ると、なんとその女性はポケットティッシュを差し出した。

咄嗟のことであったが、私は反射的にそのポケットティッシュを受け取った。

「ありがとうございます!」私も笑顔でお礼を言った。

後で思い返すと、この女性はいつも席を譲られる立場なので譲ってくれた人々のためにポケットティッシュを準備しているのかもしれない。

人として当然のことをしただけなので受け取るほどのものではないのであるが、こういう場合はありがたく受け取ったほうが双方気持ちが良いことであろう。

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ちなみに、バス車内にもヘルプマークについて知らせる掲示があった。配慮が必要な方がそれを知らせるためのマークだ。

これからもこのマークを表示させている方がいたら、積極的に席を譲ろうと思った。

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お読みいただき、ありがとうございました。

ヘルプマーク

ヘルプマークの啓発イラスト。

こちらは私がChatGPTで生成したヘルプマークの啓発イラストです。

ヘルプマークは、このように赤に白い十字とハートが書いてあるマークです。

近年、ヘルプマークの認知度が広まってきましたが、初めてこのような場面に遭遇しましたのでヘルプマークの有用性を肌で感じました。

このイラストを使ってポスターもデザインしてみました。よろしければこちらをご覧くださいませ。