山田隆一公式サイト

1391.【エッセイ】『猫の街』

2025/05/02

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『猫の街』

私が住む長崎市は、坂の街であるが、同時に「猫の街」でもある。

少し路地に入ってみると、猫がうろついていることがある。

私は街歩きが好きなのでよく地元の長崎の街並みをいろいろと歩くのであるが、実に様々なところで猫を発見する。

「お、こんなところにも猫がいるぞ!」と、猫を見つけるたびに興味深い気持ちになる。

猫だったり鳩だったりと多様な生物にも遭遇することがあることは、街歩きの楽しさの一つであろう。

猫も鳩も、それぞれの身体の柄が異なり個性がある。我々人間にもそれぞれ個性があるのと同じように猫や鳩たちもそうなのだと、彼らに遭遇すると実感する。

そんな長崎の猫はいわゆる「尾曲がり猫」と呼ばれる、文字通りしっぽが曲がった形をしている猫の割合が非常に高い。

私は地元なので特にこれを意識したことはなかったが、猫が好きな人が長崎に観光などで訪れた際にはこのことも頭に入れておくと楽しめるかもしれない。

なぜ尾曲がり猫が多いのかを少し調べてみると、江戸時代にオランダ東インド会社の貿易船がインドネシアのジャカルタに生息する尾曲がり猫をネズミ駆除のために長崎の出島に連れてきたものが現代まで繁殖して増えた、という説が出てきた。この説は非常に興味深い。

長崎に猫、殊に尾曲がり猫が多いことさえも、江戸時代における外国との玄関口であった出島がある長崎ならではの理由であることに興味深さを感じた。

今度尾曲がり猫を見かけた際はこの歴史にも思いを馳せてみようと思う。

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